松田公認会計士事務所

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2025.10.22

2025年改正後の主な「収入の壁」一覧

【はじめに】

 2025年の税制改正では「103万円の壁」が呼ばれていた所得税の非課税ラインが見直され、所得控除の拡充により課税されない年収の目安が約160万円程度まで引き上げられました。一方で、住民税や社会保険に関する壁は引き続き存在しています。

以下に、それぞれの壁の概要とその影響を整理して解説します。

【主な収入の壁一覧と概要】

壁の名称対象となる負担支払者主な内容・影響
年収100万円の壁住民税配偶者本人年収が100万円を超えると、翌年から住民税の課税対象となる可能性が出てきます。※1。
年収103万円の壁(※緩和済)所得税配偶者本人これまで、給与所得控除(55万円)と基礎控除(48万円)を合計した103万円以下の給与収入であれば、所得税が課されませんでした。2025年の税制改正により、基礎控除および給与所得控除が引き上げられ、課税されない年収の目安が実質的に約160万円程度まで拡大されました。そのため、「103万円の壁」は実務上大幅に緩和されたといえます。
年収106万円の壁社会保険料(健康保険・厚生年金)配偶者本人週20時間以上勤務し、従業員51人以上の企業に勤めていて、年収が106万円(月収約8.8万円)以上といった条件を満たすと、社会保険への加入義務が発生します。保険料は本人と会社が折半で負担します。2025年以降、適用対象の拡大が予定されています※2。
年収130万円の壁社会保険扶養の外れ配偶者本人年収130万円を超えると、原則として配偶者は扶養者の健康保険・年金から外れ、自分自身で保険に加入する必要があります。結果として手取りが減少する傾向にあります※3。
年収160万円の壁(新設)所得税・配偶者控除配偶者本人と扶養者2025年の税制改正により、配偶者特別控除の満額適用となる配偶者の年収上限が、従来の150万円から160万円に引き上げられました。これにより、配偶者の年収が160万円以下であれば、配偶者本人に所得税がかからず、扶養者も配偶者控除・特別控除を最大限受けられます。なお、配偶者の年収が160万円を超えると控除額が段階的に減少し、201.6万円を超えると控除は受けられなくなります。

【今後のポイント】 2025年改正により、「103万円の壁」は大きく緩和されましたが、住民税や社会保険に関する壁は引き続き意識する必要があります。特に106万円・130万円前後では社会保険料の負担が手取りに大きく影響します。

世帯全体での手取りを最大化するには、以下のような点に注意するとよいでしょう。

  • 配偶者控除の適用範囲を確認する
  • 勤務先の社会保険加入条件を把握する
  • 「壁」を超えるか維持するかの働き方を家計全体で検討する

また、政府や企業による社会保険料負担軽減のための補助制度なども登場しており、積極的に情報収集・活用することが重要です。

以上の情報を踏まえて、扶養内での働き方や年収計画を見直してみましょう。

※1 住民税の課税対象となるかどうかは、給与収入だけでなく控除等を含めた「所得」が基準になります。単純に「年収100万円を超えたら必ず住民税が発生」するわけではなく、市町村によって「非課税限度額」があり、たとえば「給与収入100万円+扶養人数・控除額」によっては住民税非課税となる場合があります。当コラムではわかりやすさを重視した表現をとっておりますが、実務上「年収100万円超=必ず住民税あり」という図式ではない点、注意が必要です。

※2 従業員数50人以下の事業所にも段階的に拡大される予定です。

※3 130万円は「年収見込み」の基準であり、ボーナスや一時的な増収があっても、恒常的でなければ扶養内と認められる場合もあります。また、勤務先で社会保険加入要件を満たしている場合には、そちらで加入することになります。

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